第一話はこちら
これまでのあらすじ
かりんを連れて屋敷を去った館山。
しかし、残されたかりんのiPhoneには衝撃のメモが残されていた。
探索者たちに迫る大変な危険とは?!
半信半疑の中、Siriを起動する3人…!
クトゥルフ神話TRPG「蛇の屋敷」のネタバレがあります。
ヘイSiriの呼び声に反応するかのように、iPhoneのSiriが起動した。
しかし、そこから聞こえる声は音質こそ違えど、感情の色を湛えたかりんその人の声だった。
「ああ、良かった!メモを見てくれたんですね、信じられないかもしれないけど、私です、かりんです」
「かりんちゃん?本当に?」
「いままで黙っていてごめんなさい、私は生物の精神に寄生して生きる生命体なんです。今まで時雨かりんの体を借りていたけれど、こんなことになるなんて」
「体を借りていたって、かりんちゃんは?」
「・・・いつ時雨かりんの体を奪ったんだい」
「あっ、時雨かりんは、自殺しようとしていたの。そして、その瞬間・・・ガスの充満する自室で気を失った彼女の体を借りたの。あなたたちに会う、ずっと前のことよ」
「出会った時から、かりんちゃんはあなただったの?」
「そうだよ、ずっと友達になったときから、私は私だよ。でも、こんなことになるなんて。私は、同じ性別の生き物の体になら寄生できるんだけど、Siriに寄生できたのは・・・奇跡だわ」
「かりん君の体のほうは今どうなってるんだい?」
「それは…おそらく、館山に殺されていると思うわ。あの男は、普通の人間じゃない。私も普通の人間じゃないから、わかるのよ。あれはとっても邪悪な存在。そして、私があいつのことを別の生き物だとわかったように、あいつもおそらく私を普通の生命体じゃないと気付いてる。だから、私を真っ先に殺そうとしているのよ。あいつが帰ってきたら、あなたたちも、危険だわ」
「危険って、あいつは何者なの?僕らはどうしたらいいの?」
「それは…私にもわからないけれど。でも、この建物はなにか、奇妙な力場の上に立っている気がするわ。呪いや魔力と呼ばれるようなものよ。こういう力は一年や二年でできるものじゃないから、何か歴史的な建物が近くにあるのかも。そこに手がかりがあるかもしれないわ」
「ふーむ・・・」
「蔵かな?」
「とにかく、あいつが帰ってくるまでに何か対策手段を立てないとまずいわ。私は電池が切れたらどうなっちゃうかわからないから、スリープモードになってるけど、何かあったらまた電源をつけて読んでね。みんな、どうか頑張って・・・」
にわかには信じがたい状況を知らされる探索者たち。
しかし、流暢に話すSiriが、明らかに友達であるかりんの話し方であったことは事実であり、危険が迫っていることを疑うことはできなかった。
「今、何時だね?」
「時計を見ると、8時半頃ですね」
「確か、12時くらいに帰ってくるって言ってたから…あと、3時間ちょっと。急いで、調べて回らないと」
「このまま下山するのは無理かな?」
「しかし、まだ時間はあるにはある。もう少し情報を集めてからでもいいだろう」
「そうですね!どこから回りましょうか…」
「2階から行ってみる?」
「そうですね、行くなって言われたし…そういうところこそ、情報がありそう」
「慎重に行ってみよう」
「それでは、3人は階段を登りました。そこには廊下に面して、二つの部屋が見えますね」
「Aから開けてみようか」
「まってください!聞き耳してみましょう」
越智【聞き耳】▶︎失敗
えりん【聞き耳】▶︎ファンブル
セル山【聞き耳】▶︎成功
「では、えりんは扉に聞き耳しようとして、こけて激しく頭を扉にぶつけます。セル山は部屋の中の音を探ることができましたが、特に音はしていないようですね」
「うううう」
「エリンさん!何してんですか!開けてみましょう」
「カギがかかってますね」
「!ここで、あの使用人室の鍵を使います」
「すると、ガチャリと音を立てて、扉が開きました」
「おおお」
「扉を開けると、中には人影はありません。整頓された部屋の中には、机、本棚があり、部屋の角には脚立が置いていあります。そして大きな水槽がありました」
「水槽に【目星】!」▶︎成功
「水槽の中には、何匹もの大きなカエルがいました。セル山は、先ほどお風呂で手に入れたカエルと同じようなカエルだと思いますね」
「ふーむ・・・カエル。たしかに、先ほど館山が言っていたことと符合するね」
「部屋全体に【目星】」▶︎成功
「部屋全体を見渡したセル山は、天井に跳ね上げ扉があることに気がつきました」
「おおお!セル山さん!跳ね上げ扉です!ここは僕に任せてください!」
「【跳躍】で!!」
「・・・はい」
【跳躍】▶︎成功
「すると、越智の大ジャンプが成功し、天井の扉に手をかけ、バッコーンと扉を引き下ろすことに成功しました」
「やりましたよみなさん!!!」
「じゃあ私は脚立を持ってきて、登ってみます」
「脚立wwwwあったわwwwww」
「越智くん落ち着きたまえよ」
「エリンが脚立を使って屋根裏に登ってみますと、そこは狭い空間で、小さな机の上に怪しげな薬品らしきビンと、一冊の本、クーラーボックスがありました」
「・・・クーラーボックスかぁ・・・。なんか嫌な予感がするよね・・・・」
「クーラーボックスから、匂いはする?」
「匂いを調べるには聞き耳だね」
【聞き耳】▶︎成功
「すると、クーラーボックスからは生臭いような匂いがしていることに気がつきます」
「クーラーボックスをセル山に渡します」
「オッフォwww受け取ります」
「クーラーボックスの中には何か入っている感覚はしますね」
「開けてみますか・・・」
「開けてみますと、そこには大きな肉の塊が、生臭い液体に浸かるように入っていました」
「・・・」
「机の上の本を読んでみます」
「その本は、とても古い本のようです。古い言葉を用いて歴史的な記述で記されているので、内容を理解するには【日本語-60】、【歴史】、【考古学】、【図書館】のいずれかが必要です」
「だれか【図書館】持ってるひといる?」
「持ってないですね!」
「ないなあ」
「私もない」
「【図書館】誰も持ってないってなかなか無いけどね。初期値で振りますか」
【図書館】
越智、エリン▶︎失敗
セル山▶︎成功
「読める・・・読めるぞ・・・!本の中身が私に語りかけてくる・・・!」
「セル山さんすごい!読めるんですねこれが!」
「では、セル山は本にこのようなことが書いてあることを理解できました」
『くちなわの人』
ー序文ー地球上で、人間は最も力強い存在だ。
人間には天敵が存在しない。
人間こそが生態系の頂点に立つ種だと、ずっとそう信じられてきた。
しかし、その更に上に立つための術式を発見した。
人間が、人間の天敵たる存在となるための術式である。
その術式を以下に記す。
ー術式の効果ーこの術式は、カエルとヘビの関係性を、人間とその天敵たる存在「ヘビ人間」の間に再現するも のである。
この術式を行えば、その人間はヘビ人間となり、普通の人間に対して絶対の力を得ることが出来る。
抵抗する気をなくさせ、極上の美味たるその肉を、なんの苦労もなく食らうことが出来るだろう。
ー術式の方法ー新鮮な人間の肉を手に入れ、それに対してカエルの生き血をはじめとする材料を必要量混ぜ込む。
これを食べれば12時間のうちにヘビ人間となることができるだろう。
また、この期間に●●(文字がにじんでいて読めない)を食べることで、カエルの状態に回帰することもできる。
ーヘビ人間として生きるにあたってー
ヘビ人間にとって、人間の肉はとても美味いが、カエルの肉もおいしく食べることが出来るだろう。
ヘビ人間としての仲間を作れば、それらは忠実な下部となるだろう。
ただひとつ、ヘビ人間には決定的な弱点が存在している。
(以下は紙が汚れていて読むことができない。)
「ほぉうほう・・・ということは、もしかしてさっき私たちが食べた肉は・・・?」
「そうですね、セル山はこの文献から、おそらく先ほど館山に食べさせられた肉が、人肉ではないかと察してしまいますね・・・。SANチェックです」
「あれは・・・!人のッ・・・・」
SANチェック▶︎成功
「なんて書いてあるんですか!セル山さん!」
「【言いくるめ】を使って、すごいわかりやすく二人にも本の内容を説明します」▶︎成功
「すると、残りの二人も本の内容を理解できたと同時に、先ほど食べた肉が人肉ではなかったかと思います。SANチェックです」
「いやああああ」
エリン▶︎失敗
越智▶︎成功
「ニクゥー!いやー!」
SANチェックに失敗するも、発狂はまぬがえたエリン。
さらに屋根裏を調べると、薬品のようなビンの中には、カエルの皮膚のような残骸が浮いていることに気がつく。このクーラーボックスの中の肉はカエルの生き血などの材料に浸かった人肉ではないかと気づく3人。屋根裏の探索を終え、再び館山の部屋に戻ってきた。
「先ほどの記述によると、人肉を食べさせられた我々は・・・12時間後にヘビ人間になってしまって、館山の下僕になってしまうということらしい。信じがたいことだが・・・」
「これは・・・とんでもないことになってきましたね・・・」
「これから、どうしようか」
「整理しよう。我々がすべき事は、二つある。一つは、館山が帰ってきたときに備えて、戦う準備をすること。さっきの本の記述によると、ヘビ人間にも弱点があるらしいから、それを準備すること。もう一つは、我々がヘビ人間になってしまう前に、それを回避する手段を探すこと」
「ヘビ人間になるまえには、12時間あるみたいだから・・・。館山が帰ってくるまでには、もう2、3時間でしょう。まずは、館山の弱点を探す方を優先したほうがいいんじゃないですか?」
「いやしかし、先ほどの記述によれば、館山は我々を食べようとしているわけではない。人肉を食わせた以上、我々もヘビ人間にさせて、下僕として使役しようとしているわけだろう。使用人がいなくなっている状況も、それに符合する。館山を倒すことは後回しでもいいかもしれない」
「確かに・・・それはその通りですね。それなら、まずは我々がヘビ人間になるのを回避する手段を探すことを優先しつつ、調べて回りましょうか。何かを食べれば良いみたいだけど…」
「それがいいだろう。さて、この部屋にもまだ本棚があったよね」
本棚を調べると、初期値の図書館に成功した越智が蛇に関する伝承を見つけ出すことに成功する。
「良かったー3人いれば一人くらい成功するもんですね」
「その伝承によると、「伝説によると、蛇はナメクジに弱い」と記されていることがわかりました」
「ああー・・・なるほど。さんすくみってやつだねえ」
「さんすくみ?」
「蛇はなめくじに弱く、なめくじはカエルに弱く、カエルは蛇に弱い・・・ジャンケンみたいな関係が、昔から言われているんだよ」
「ってことは、蛇人間はナメクジに弱いってこと?」
「ナメクジを探せば良いってことでしょうか」
3人は考えこみながら、館山の部屋を後にする。
次に隣の部屋を開けようとするが、鍵がかかっていた。
「ここの部屋は、管理人室の部屋の鍵ではあきませんでした。そしてその時に気がつきますが、こちらの部屋の扉の方が館山の部屋よりも厚く、頑丈に作られているように思いますね」
「・・・ごくり」
なんとなく危険を感じて、聞き耳を立てる3人。しかし全員失敗し、部屋の中の様子は窺い知れることができなかった。
「どこかに鍵があるのだろうが・・・」
「探しに行くのも時間がかかりそうですね…」
「今9時半です」
「私の【こぶし】で開けてみようか」
「おおおエリンくん。やるのかね」
「では、エリンが分厚い扉にパンチで破壊を試みると」
「よーし!!くらえー!」
【こぶし】▶︎成功
「こぶしに成功したエリンは、強烈な正拳突きを扉に行うことができました。しかし扉は硬く、腕を激しく痛めました。ダメージです」
「痛い!!」
「そりゃそうだよねえ」
「扉はびくともしていないようですね」
「・・・僕がキックで開けてみます!古武術を使った僕のキックなら・・・!」
「・・・はい。それでは、傷つき崩れ落ちたエリンの背後から、越智がゆらりと構えました」
【キック】▶︎クリティカル
【マーシャルアーツ(古武術)】成功
+1D4ダメージボーナス
「クリティカル!凄まじい轟音とともに繰り出された越智の人知を超えた蹴りが、扉の中心に炸裂すると同時に、扉は弾け吹き飛びました」
「ハァアアア!!!!!」
「越智くんwwwwよくやったよ越智くん!!!」
「扉から浮かぶ雲煙がはれていくと、部屋の中の様子が知れます。中は子供部屋のような作りになっていました。そして探索者たちは、ベッドの上に一人の少女がいることに気がつきました。突然の事態に少女は目を丸くして固まっています」
「え・・・あ・・・ええ・・・・」
「そりゃ固まるわねえ」
次回予告
館山の部屋の机に普通にあった鍵に気がつかず、扉を破壊し探索を進める3人!
このままではヘビ人間になってしまうかもしれないし、そして館山が帰ってくるまで時間がない!
迫る恐怖に打ち勝ち、探索者たちは生還への生着を見つけ出せるのか!
そしてこの少女の正体は?!
次回、「背後に立つモノは」
お楽しみに!